2010年5月9日日曜日

NIPPON VISION 3 トークショー(ゲスト:水野学さん)

D&Dで行われたNIPPON VISION 3 トークショーに行ってきました。


ホスト役はD&D代表のナガオカケンメイさんとゲストは水野学さ ん。


NIPPON VISION

「60VISIONの考え方である「原点を売り続けながら、自分たちらしさを見つめ直す」ということを日本の地域 産業、伝統工芸に応用し、無理なく活性化 し、より長く続く仕組みをつくっていくプロジェクト。
日本全国から若いリアルな需要にそった普段の生活に使えるロングライフな工芸品を集め、展覧会形式で展示販売を行うことにより、商品の技術や魅力、作り手 を紹介していきます。」

というもの。


ナガオカさんの質問に、水野さんが答えるという形式が主でした。


テーマは「観光のデザイン」


水野さんは自身がアートディレクションを手掛けた旅館 亀 やを一例に挙げ、


このテーマの解説を進めていた。


この案件は当初、グラフィックなどの広告依頼だった。


しかし水野さんはその依頼通りでなく、というよりはそれとは全く逆に広告は一切打たず、


予算を全て、メ インフロアの改装に注ぎ込んだ。


結果として雑誌などで取り上げられ客数が伸びたという


こ れにはナガオカさんも「ずいぶん思いきったね」と 感心しておられましたが、


私もそれにはすごくびっくりしました。


トークショーの中で水野さんは「旧文脈に囚われるな」と何度かおっしゃっていたのは


正にこういったこ とかもしれません


余談ですが水野さんは 思ったより、はっきりとものを言う感じの人でしたね。


クライアントにも「それ全然駄目ですよ」とずばっと言うことも。


あ とで奥さん(詳 しくは言ってなかったけどマネジメントやってるのかな)


クライアントに丁重に断りに行くとか。


亀やのアートディレクションをするときに建築家とどう仕事を組んだのか


基 本的には「間違ったことをしていない」と判断出来るかぎり は任せる。


これはもちろんタッグを組む時点での信頼関係が成り立ってるから


フォ トグラファーと仕事をするときも基本的に はこのスタンスらしい。


地域のブランディングについて


「広告は商品が良ければいらない」


地域というのも、その原則通り「デザインをなるべく加えない」こ とがベスト。


見るべきもはすでにそこにあるは ずなので、それをどう活かせるかが勝負だと言っていた。


長野の小布施なんかはその好例で、特に何 かあるわけではないんだけど 楽しい。


原研哉さ んもお気に入りだそう。


また観光地ブランディングを行ううえでのちょっとした方法論は印象的だった。


これを行うとき、まず地域行政にダイレクトにアクションを促すのはあまり賢明でない。


とい うのも、行政は対応が遅かったり、予算が限られていたり、担当者が頻繁に変わったり、


今、流行りの事業仕分 けの対象になったりするから。


そこでまず、始めに地元の有力者、それこそ老舗の旅館とか、


人 気のあるレストランを巻き込み、公を動かしてデザインするというもの。


そこでデザイナーに 問われるのはやはり、コミュニケーション能力。


この例がまた面白かった。


地方の工務店などは、色々としがらみがあるらしく要求通りに動いてくれないことが多い


そ こでどうするか。


ズバリ「飲ませる」。


「要求を飲ませる」と「酒を飲ませる」 の二つの「飲ませる」。


一升瓶片手に工務店の社長を飲みに誘い、飲み比べをする。


すると東 京から来たチャラチャ ラしたアンちゃんからイメージが、


熱い青年へと一転、いつのまにやら同志となる。これは実際に水野さんが使 う手法らしく


コミュニケーション(ノ ミニケーション)の重要性をおっしゃっていました。


また最近の若いデザイナーはあまり飲まないとも嘆いていた。


来場者との質疑応答の時間も長かったので、話題は多岐に渡っていましたが、


尊敬するデザイナーの一人の水野 さんのお話を聞けて非常に 貴重な時間を過ごせました。

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